神社にご奉仕をしておりますと、仕事とはなんたるや、等という哲学的な部分も考えてしまいます。

労働の対価に賃金を得るという目的では、神明奉仕は成り立ちません。

たとえどんな法的制御があろうとも、奉仕という精神を司る以上心の法律に従う他ないためです。

私は、現代社会にわかりやすく当てはめると、奉仕とは最大最高のサービス業だと考えております。

ですから、向かない方には全く仕事が出来ない職業なのです。

しかし、向かないからといって、投げ出せるものでもないのがおもしろいところ。

当神社のように、いわゆる民社と呼ばれる地域密着型の神社では、私の祝詞を聞くためにお参りに見える方や、宮司の祝詞の後で玉串をお供えすることこそ神社のお参りであるとしている方などがその大半を占めます。

そういった方が一人でも居てくださる内は、おいそれと「飽きたからやーめた」、なんて言えません。

ご参拝いただく方の過去と、現在と、未来を祈ってこその神職なのですから、当然といえば当然なんですけど。

私は宮司の息子として生まれてきましたが、運良く神明奉仕が嫌いな人間には育ちませんでした。

どちらかというと、神社は好きな方でしょう。

また、春日神社始め十社会の皆様が良い方ばかりであることも、ここで働く自分にとってプラスでありました。

ありがたいお話です。


 

今、日本の国の中では、若者の働く場所について様々な議論が成されております。

それは、日本人の若者に限ったことではありません。

これから先には、肌の色や目の色、髪の色にこだわらない神職像が垣間見えたりもしてきました。

様変わりするというよりも、日本の、神社の良いところを理解して下さる方が、日本国内に留まらず世界各国で受け入れられるようになってきているということでしょう。

そしてきっと、神社はそういった方を拒むことはありません。

金髪碧眼の神主が居ても良いのです。

祝詞を心から奏上し、八百万の神達に平身低頭奉仕され、ご参拝いただく皆様の心を代弁できるよう澄んだ心でいられるならば、見た目や国家など関係ないのですから。


 

平成27年は、日本とオランダの国交が大きく変わった年で在りました。

どういうことかと申しますと、大正元年に締結された日本とオランダとの日蘭通商航海条約が知られたのです。

多くの皆様がご存じの通り、日本とオランダの間には友好的な国交は樹立されていたわけですが、他の多くの国同様に国内で相手国の人間が就業するには様々な条件が規定されておりました。

日本人がオランダで就業するにも、最低所得が月収40万円程度以上あるなどの条件がいくつかありました。

しかし、今回この日蘭通商航海条約が正式に復活認定されたため、オランダで日本人が働くには労働許可が不要になり、先に述べた最低所得条件も半分程度に緩和されることとなったのです。

実際問題、これがとても大きな問題になることはあまりありませんが、大切なのは、オランダがこの条約復活をないがしろにせず、古い約束事を100年以上経った今でも守ることが出来る国である、ということなのです。

そして、これには日本も同じ対応が求められます。

両国にとって、最恵国待遇をお互いにすることが求められるので、日本で働くオランダ人にも日本国内法に則り最恵国待遇としてオランダ人の皆さんを法に当てはめることとなるのです。

またこの条約は、現在を始め将来に亘って効力を発揮するとされますので、二国間で条約の改定等がなければずっとこのまま続くこととなるでしょう。

そして、このことをきっかけとして、仕事に対する考えを変える方も少しはいらっしゃることとなるでしょう。


 

最初に述べたとおり、神社神職であれば残業や早出などで手当が付くことはよほど大きな神社でない限りありません。(もちろんボーナスもありません。)

仕事前に地鎮祭をして欲しいといわれればもちろん答えますし、それが午前5時半なんて場合もあります。(私なんかは、そうまでして地鎮祭していただけるのですから、ありがたいものだと考えます。)

ご葬儀の奉仕となると深夜に亘って宮司が翌日の祭詞を書いています。(給料の範囲内)

個人経営の商売をされている方や、全国の社長業をやってらっしゃる方の多くはこれと変わらぬ就業状況でしょう。

しかし、そうであってはいけないと感じます。

数字を扱う職業の方は、よく休み、リフレッシュし、顧客に利益をもたらす商品を探し売るべきです。

技術を扱う方は、体の健康と精度を気遣い、休憩を取り、より付加価値の高いものを製造すべきです。

長時間労働だけでは、サービスを提供される側の利益が少なくなるのです。

この考えは、オランダに住んでる方の方が理解しやすいでしょう。

そして日本人も、実はこの考えを持っているのに理解できていないのです。


 

私のご奉仕するご祈祷はだいたい20分から30分と短いものですが、ご参拝に見える方はその時間私の背中を通じて大神様に向き合い、どうお考えなのでしょう。

無駄に高い意味のない時間を過ごしていると考えている方はいらっしゃいません。

家族親族と共に玉串をあげる一時の大切さを、強くご理解いただいております。

これが、現代に足りない心の柱である、と言えるのです。

余裕のない時間配分だと決めるのではなく、決められた時間の中に余裕を造るのです。

出来ないことを決めるのでは無く、出来る範囲を考える。

いろんな言い方はありますでしょうが、私は、神社にお参りする時間を作ることの重要性を説いて行きます。

といったところで、今年の目標が決まりましたので、無駄な文章を書いてきた甲斐がありました。

さぁ、ようやく寝られる。

皆様、国外で働くなら、オランダがチャンスですよ!

資料 : オランダにおける日本人に対する労働許可及び滞在許可に関する手続の変更について(在オランダ日本大使館)