仮殿前で行われた仮遷座の様子

御神体を守り抜いた用材

一昨年の平成27年3月29日より昨年の平成28年3月26日までの約一年間、一時的に野々市市二日市町の氏神様である荒川神社の御神体を、春日神社摂社の出世稲荷神社にてお祭りさせていただいておりました。

この御神体をお祀りするため、専門の職人様にお願いし、長期間に渡るお祀りでも損なわれず、天災などでも傾く事のない頑丈なものを作っていただいておりました。

荒川神社の社殿改築が無事に行われ、元ある場所へと御神体をお戻ししましたが、出世稲荷神社で仮殿に使われていた木材は神職の提案により残されておりました。

たとえ仮のお社であったとしても、御神体を立派に守り抜いた御用材として、丁重にその使途が考えられる事になりました。

仮殿前で行われた仮遷座の様子
仮殿前で行われた仮遷座の様子(荒川神社宮司による祝詞奏上)

二つの木工製品に

この御用材の使途については当初より禰宜に一任されており、事前に採寸など出来ませんので荒川神社への御神体の渡御が終わり次第解体してようやく何に使えるのかを考えられるようになりました。

事前に絵馬かけは必ず作りたいとしておりましたので、素人の手作業で出来る程度ではありますが設計をし、先に作ってしまいました。

平成29年正月の絵馬かけの様子
平成29年正月の絵馬かけの様子

その後、さらに残った木材をただ焼納するには惜しいとして、専用の立て看板を制作いたしました。

これまで春日神社では、ポスターなどを過度に用いた装飾は控える、という宮司の一念がございましたので、出来るだけ質素倹約素朴な社殿であるようにされておりましたが、近年ではお伝えすべき出来事や楽しみがあまりにも内に溜まってしまうと懸念され、現在は少しではありますがポスターなどを貼りだしております。

昨年は、この作成した看板は神社へご祈祷に訪れた子供達のお楽しみくじ引き看板として活用されました。

荒川神社仮殿御用材で作られた看板
荒川神社仮殿御用材で作られた看板

また、今年のお正月には、新年奉幣祈祷や諸祈願を願うご参拝の皆様へ、受付の簡単な作法を掲示する掲示板としても活用されました。

専門の業者様へお願いすればもっと美しいものが完成するのでしょうが、そこはご愛敬と申しますか、「神職の手作り」というところで納めていただきたく存じます。

日曜大工の域を出るものではありませんでしたが、一年間立派に御神体をお守りした御用材は、さらに一年間、春日神社に訪れる多くのご参拝の皆様へご奉仕するに至ったのです。


焼納の予定

平成29年1月15日の左義長で、この二つの作成物の内の一つ、絵馬かけを焼納する事にしております。

これは、禰宜の手作りでもあり、境内に野ざらしで設置されているところから、どの程度の耐久性があるか疑問視されるところからです。

もちろん数年は持つでしょうが、設置場所も車の出入りの観点からご意見を賜っておりますので、致し方ございません。

15日焼納ですが、14日には取り外す予定です。

期間限定ですが、その由緒には厳かな謂れがございますので、ご祈願の際には是非こちらの絵馬かけをご利用いただいてはいかがでしょうか。

また、赤鳥居前のお正月特別祈願専用しめ縄も、14日には取り外される予定です。

赤鳥居前の祈願しめ縄は、ご参拝いただく方から「絵馬やおみくじを結んでから赤鳥居をくぐると願いが叶う。」等との声もいただいており、毎年半月だけですが暖かい思いが募る様が見られ、神社のあるべき姿が日の光に輝いております。

赤鳥居前の祈願しめ縄
赤鳥居前の祈願しめ縄
赤鳥居前の祈願しめ縄と拝殿
赤鳥居前の祈願しめ縄と拝殿


朱ね射す日の光の導きに向けて

本年の禰宜の新年祈祷には、家族や企業が一丸となってまっすぐに進んで行けるようにとの言霊が汲まれました。

皆様にとっての一年が、より良い年であるよう願うと共に、また今年も一年仲良く平和に過ごせるよう祈願されておりました。

本年は、春日神社拝殿御造営より30年という節目でもあり、重要な一年になることでしょう。

これまでと変わらず誠心ご祈祷やお祭のご奉仕を申し上げますので、皆様のご参拝を心よりお待ち申し上げております。

指し示す日の光