近年の気象状況により

この数年、夏場の異常気象に伴い春日神社に奉納されてきたご神米が虫などの発生が懸念されてきておりました。

お米を保存するための冷蔵庫や専用設備は在りませんので、専用の部屋に換気扇を設け木々の陰でそう室温も高くならない場所に保管してきました。

また、奉納された玄米や白米は一斗缶に封入し虫が入らないよう心がけてきました。

しかし、過度に暑い日々が続いた年、それまで1年は保管できていた神米保管室に異変が起きてしまいます。

 

何十年と続けてきた保管方法でしたが、あまりの気温により社殿内部の室温もこれまでの常軌を逸した室温が何日も続き、結果痛ませてしまうに至ります。

例年、奉納されたご神米を神職がいただくことを禊のひとつとして受け継いできておりましたが、ここまで悪くなったことは在りませんでした。

多少虫が沸こうとも、皆様からのお力添えで神職家族が生きる糧をいただけることを自覚して、子供達にも生きる意味を教えるきっかけとなっておりましたが、さすがに。

これをきっかけに、ご神米の奉納について一考の余地在りと考えられることとなりました。

 

県内市内の貧困世帯

平成25年に実施された国民生活基本調査を元にして、各県の相対的貧困率を算出したホームページが在ります。

相対的貧困世帯率 [ 2013年第一位 高知県 ]

これを見ると、石川県の相対的貧困率は中部地方で最悪の20.31%となっており、国内平均の19.01%から比べると1%以上も多く、平成22年時点の石川県の人口が1169千人で在ることから算出すると国内平均から23,000人以上が相対的貧困層とみられ、また全国消費実態調査ではこの相対的貧困層の62%程度が一人親世帯であることから、県内で食べることにすら困窮している子供は14,700人は下らない(一人親のうちお子さんが複数人居る世帯は多い)とみられます。

この数字を見てどうでしょうか。

少ないと感じますか?それとも多いのでしょうか?

石川県内には小学校が142校ありますが、これらの小学校に100人は相対的貧困層の子供達が居ると考えると決して少ないとは言えないでしょう。

また、こういった実態を知る機会が無いことも悔やまれるところであります。

春日神社周辺の公園には、夕飯の時間をかなりすぎているのに子供が一人で遊んでいる光景がまま見られます。

実際にそういった子供達と話をすると、「お母さんがまだバイト中だから。」とか、「今日はお父さんもお母さんも帰ってくるのが遅いから。」などと笑顔で答えてくれたります。

また子供達の夕食が袋麺一袋であったり、白米を食べられる日は贅沢な日であったりと、耳を疑う現実が実際に皆様の回りに隠れているのです。

石川県内でも、貧困層へのお手伝いは急務と言えることでしょう。

 

もちろんこれは子育て世代の貧困層もありますが、いわゆるホームレス者へのお手伝いにも目を向けなくてはいけないと言えます。

 

子ども食堂さんを知る

必要最低限出会っても後生大事にため込んでいて質を落としてしまうのであれば、おいしく食べてくれる方に譲っても良いのではないか。

それもご神前にお供えされたお米の行く先として間違いではないのではないか。

禰宜個人的な思いにより、その行く先を探し始めました。

そして、新神田にある子ども食堂さんに行き着きます。

これぞ天恵と受け取り、勢いよく電話させて頂いたのです。

 

禰宜 「奉納されたご神米ですが、複数の農家さんや新米古米混ざったお米です。お受け取りくださいますか?」

子ども食堂さん 「小さな子供達が食べられる状態でしたら、是非いただきたいです。」

 

トントン拍子でご神米を受け取って頂ける方向に話を進めて頂きました。

その中で、子供達だけでなく総じて貧困層への炊き出しなどにも使わせて頂きますとのお話を伺い、これには専門の皆様のご判断にお任せするようお願いいたしました。

その量およそ100キロ超。

本年中に奉納されたご神米は、そのほとんどが今回子ども食堂さんに手渡されたことになります。

 

年末に向けてもう少しご神前にお米はお供えされますが、それは神職への撤饌として受け取ることになるでしょう。

神職にとって十分な量ではありませんが、宝の持ち腐れでは大神様も良い顔されませんでしょうから、この判断はきっと間違いではなかったと信じます。

 

今後の子ども食堂さんへのお手伝いに向けて

今後も、奉納ご神米を提供するなど出来るようであれば続けてゆきたい所存です。

ただ、農家さんの数も激減し奉納される玄米なども少なくなっているのが現状。

子ども食堂さん(かなざわっ子nikoniko倶楽部さん)等にお伺いするところによると、お米100キロはすぐ必要なところにお分けするらしいのですが年間を通じてみるとそれほど十分とも言えなさそうです。

もし、春日神社のホームページを見られた方でお志をお考えの方は是非子ども食堂さん(かなざわっ子nikoniko倶楽部さん)までご一報ください。

また、春日神社への奉納ご神米のうち幾分かはこういった場所へお分けいたしますことをご了承くださいますと幸いです。