日本の神話と神々の系譜

高天原(たかまがはら)に三柱の神が現れる

天之御中主神 (あめのみなかぬしのかみ)

宇宙の根源をなす神

高御産巣日神 (たかみむすひのかみ)

生成力の神

神産巣日神 (かみむすひのかみ)

生命の復活と再生を司る神


神代七代を経て

伊邪那岐命 (いざなきのみこと)

伊邪那美命 (いざなみのみこと)

この夫婦二柱の神が日本本土と八つの島を生み、さらに35柱の神を生みました。

しかし、女神である伊邪那美命が火の神生んだ際に火傷を負い、命尽き黄泉国(よみのくに)へとへ旅立った。

伊邪那岐命は妻であった伊邪那美命を連れ戻しに黄泉国へ行くも、追い返される。

伊邪那岐命は黄泉国より戻った際に、体の穢れを入江で落としたところ三貴神を生んだ。


三貴神

天照大御神 (アマテラスオオミカミ)

左目を洗って生まれた。太陽を司る神とされ、高天原を治めるよう任される。

月読命 (ツクヨミノミコト)

右目を洗って生まれた。アマテラスと対し月を司るとされ、夜の神とされる。

建速須佐之男命 (タケハヤスサノオノミコト)

鼻を洗って生まれた。海原を治めよと任されるも。


天の岩戸

天照大御神(太陽の神)は、高天原において弟・須佐之男命の悪行に愛想を尽かし、天岩戸に籠る。

以降は高天原も葦原中国も光は失われ、闇が覆い、様々な禍事が荒れ狂った。

これを憂いた八百万の神達が集い対策を考えた。

岩戸の前で賑やかに歌い踊り、またそれに呼応して神々が大きく笑ったという。

すると天照大御神は不思議に思い、岩戸を開けて外を窺うと、神々はその身をさっと引っ張り出し、岩戸を閉じ固く封じた。

これで元の通り明るい世界が戻った。

しかし須佐之男命がまた悪さをしないとも限らないので、高天原から追放した。

あてを失った須佐之男命は葦原中国を奔放と流離い歩いていると、一筋の川にたどり着き、その上流から箸が流れてきた。

これを見た須佐之男命は、上流には人が住んでいるのだと確信し、この川を上っていくと老夫婦と娘が居る建物にたどり着いた。

しかし、この三人は須佐之男命と出会ってからずっと泣いている。

理由を聞くと、この娘を八岐大蛇に差し出さなければならないのだと聞かされた。

そこで一計を案じた須佐之男命は、老夫婦に八つの大樽を用意させその中を酒でなみなみと満たしたのだ。

また、泣き続けていた娘を髪飾りの櫛へと姿を変えさせ自分の頭に刺し、八岐大蛇を待っていると、案の定八岐大蛇は酒樽に首を突っ込みがぶがぶと飲み干し、酔ってその場で寝てしまったのだ。

須佐之男命は寝入っている大蛇の首を一つずつ切り落としてくと、最後の八つめの首を切り落とした時に、中から一振りの剣が見出された。

これを草薙乃剣とし、須佐之男命の宝剣となったのだ。

また、櫛に姿を変えていた娘は、櫛名田比売と名を表し、須佐之男命の妻となり子を成すに至る。

この夫婦の六代目の子孫こそ名を大国主命、又の名をオオアナムジノカミと言う。


因幡の白兎

時代は移り、この大国主命の話となる。

大国主命は、世に響き渡る程に美しい因幡の国の八上比売に求婚するために、兄弟達と揃って出かけ、道中気多の岬にたどり着く。

すると、鰐に皮を剥がされた兎が鳴いていた。

それを見た大国主命は兎に、川で体を洗い蒲黄(ガマ)の穂を敷き詰めた上で寝転がりなさいと教えます。

正しい治療法を教えた大国主命に、兎は言いました。

八上比売はきっと貴方と結婚する事になるでしょう、と。

この予言通り、八上比売は大国主命との結婚を望むが、先行していた兄弟達はそれを快く思わなかった。

嫉妬と邪心に捕らわれた兄弟は、大国主命の命を脅かす妨害を繰り返し、大国主命は困り果て、須佐之男命が今も根の堅州国(ネノカタスムニ)居ると聞き、そこへ向かう事となります。

この道中、須佐之男命の娘である須世理毘売(スセリビメ)と恋に落ちるのですが、須佐之男命はすぐにこれを認めませんでした。

命をかけた無理難題をこなしその勇気と知力を示した大国主命は、須佐之男命から須世理毘売を正妻とし葦原中国を治めるよう言い渡されたのです。


国譲り

葦原中国を治めていた大国主命だが、ある時高天原から二柱の神が訪れた。

「天照大神とタカギノカミより、天照大神の子孫この葦原中国を治めるよういわれた。どうだろうか。」

これに大国主命は、須佐之男命より任されている国を簡単に譲るわけにいかないので答えられぬとし、大国主命の子である事代主(コトシロヌシ)と建御名方(タケミナカタ)に問うてみよと言い渡す。

武甕槌はこれら二人と話をし、承知を得、再び大国主命と話し合う。

この時、大国主命はこう言い渡した。

「私は我が子達の考えと同じです。この国をお譲りします。しかし、高天原へ届く程の高い床を持った宮殿を建造して下さい。私はそこに住む事にします。」

これが今の出雲大社であり、宮殿の名は杵築宮(キヅキノミヤ)とも言われている。

こうして武甕槌は葦原中国を治める算段を整えた事を、天照大神に伝えたのでした。

これを、国譲りと言います。


天孫降臨

天照大神は孫であるニニギノミコトを葦原中国統治の為に高天原から天降りさせます。

高天原から葦原中国への道中は、雲をかき分け、森の木々を縫い飛び歩くとても大変な道中でありました。

この時、猿田彦神の導きで、ようやく日向の高千穂(現在の九州は宮﨑)へたどり着きます。

これを、天孫降臨と呼び、この時に天照大神の魂として三種の神器も共にこの国へと降り立つ事になりました。

これより後、この天照大神とニニギノミコトの直系である神武天皇が引き継ぎ、この時を以て日本国の誕生とされる。

今上天皇(現在の天皇)は第百二十五代目となる。