平成29年 写生大会の様子平成29年 写生大会の様子

境内での写生風景

7月の最後、30日31日に、春日神社の摂社としてお奉りされる出世稲荷神社の例祭が斎行されました。

これの協賛行事として、第36回春日神社境内写生大会が開催されました。

平成29年 写生大会の様子平成29年 写生大会の様子
平成29年 写生大会の様子

近年は大人よりも予定が詰まっている場合も見受けられる子供達ですが、今年も万難を排し神社境内へと足を運んで絵を描いていただきました。

今年は実験的に、参加者の皆様に神社名入りシールを貼ったクリアファイルを配ったり、神社側の熱中症対策としてお茶を皆さんに配る(2日目)など、あまり大事は出来ませんが思い出に残れる写生大会にしていただこうとしてみました。

子供達の絵からは、描いている時の心情が垣間見られ、毎年とても楽しく拝見させていただいております。

近年は、子供の頃にこの写生大会に参加していたとお話しいただく親御さんも多く見受けられ、想い出のある神社として愛されていると実感する次第です。

写生大会参加者全員展示

平成29年 アピタ金沢店展示場の様子
平成29年 アピタ金沢店展示場の様子

今年の全参加者数は56人となり、最盛期と比べるとかなり減ってしまいました。

100人規模の際には佳作賞の方の作品は展示できておりませんでしたが、今回の全員展示は良く受け取ると小さな子供達にも優しい展示方法であるとも言え、春日の大神様の粋な計らいには頭が下がります。

ただ、禰宜としましては、以前のように100人や200人と多くの子供達にご参加いただけると嬉しいのですが。

また、アピタ金沢店さんでの作品展示も長く続く夏の風景です。

平成29年 アピタ金沢店展示場の様子2
平成29年 アピタ金沢店展示場の様子2

これらの作品は、地元の幼稚園保育園・小学校に通う皆さんの目にとまり、絵を描いた本人以外も目にすることから、園や学校で話の種になり、子供達の輪を成す一つの要因にもなっているようです。

「○○ちゃんの絵、アピタに飾ってあったね!」

なんて会話が大人の間でも交わされ、子供達の心の育成と地元社会の絆の創世に一役買っていると自負しております点でもあります。

発表の場としてご提供いただいておりますアピタ金沢店さんには頭が下がる次第です。

授賞式は8月6日午後3時よりを予定

 

春日神社境内写生大会授賞式

場所 : アピタ金沢店 1階エレベーター前特設展示場

日時 : 8月6日 午後3時頃より 

持参品 : 参加者皆様にお送りいたしました葉書をご持参下さい。

注意 : 作品を提出された子供達全員に参加賞があります。
当日授賞式に参加できなかった方は、後日神社で手渡しておりますので、葉書を以て神社社務所までお越し下さい。

各受賞作品紹介

春日神社氏子総代会会長賞

第36回 春日神社氏子総代会会長賞
第36回 春日神社氏子総代会会長賞

選考委員・禰宜寸評

春日神社正面に建つ石鳥居です。

この石の表現が非常に面白く、象徴的なしめ縄の表現など構図も個性的に描かれています。

提灯の文字も描かれていますが、提灯の傘の柱などが榊の葉で隠れていたのか、少し薄く描かれていたりするところもまた面白いのではないでしょうか。

自分の描きたいものを画用紙全体を使って表現している構図が、何よりも卓越した感性を垣間見ることの出来る作品です。

北國新聞社社長賞

第36回 北國新聞社社長賞
第36回 北國新聞社社長賞

選考委員・禰宜寸評

子供達の作品に綺麗な描画技術はあまり求められません。

子供達の目線でどのように見えたのかを出来るだけ感じるようにしております。

この作品は、子供ながらに見えたものを出来るだけしっかりとたくさん画用紙に入れようと努力したところが良く見受けられます。

鳥居の色が若干変わっていっていたり、手水の龍の鱗の表現、選考委員がなぜかと疑問に思えた、一文字ずつの漢字。

こういった構図の面白さから、自分の感性において絵を描き上げようとする努力がにじみ出ている、とても良い作品となっています。

アピタ金沢店店長賞

第36回 アピタ金沢店店長賞
第36回 アピタ金沢店店長賞

選考委員・禰宜寸評

神社境内で実際にこの赤鳥居を見た時に、大人の目線では空の青色は見えません。

そして、描かれている木の枝も、実際のものと比べてなるべく忠実に描くよう心がけられています。

参道は斜めに描かれている中で、赤鳥居下部の黒い部分の表現も相対させて見た通りを描こうと努力しているところが感じられます。

細かな鳥居の構造にも気を遣っており、お出かけシートに座って見た風景を留めていることがわかります。

津田駒工業株式会社社長賞

第36回 津田駒工業株式会社社長賞
第36回 津田駒工業株式会社社長賞

選考委員・禰宜寸評

春日神社を描く中でも王道として表される、春日神社拝殿です。

一番大きな施設でもある事から、たくさんの子供達がこの構図で描いてきました。

しかし、同じところから同じものを見ているにも係わらず、その表現は千差万別となり、この作品のように味のある書き方になったりします。

例えば瓦ですが、一枚一枚見えている瓦の色が違うと気づいた作者さんは、なんとかしてこれを絵にしようと努力したのでしょう。

基礎の石垣にも、色の違いがあることに気がついている様子です。

下書きを生かす為に、薄めの絵の具を調節したりもしているのではないでしょうか。

絵を描く楽しさの片鱗を、この作品できっと感じているに違いありません。

中村町公民館館長賞

第36回 中村町公民館館長賞
第36回 中村町公民館館長賞

選考委員・禰宜寸評

作者は幼稚園の年長組さんです。

子供達が絵を描く楽しさを見いだすのは、おそらく見たものが形として描かれた時でしょう。

そして、その形に見た通りの色や、空想した色を塗れた時に、さらに感情は飛躍します。

どこまで絵を描く楽しさに触れ合えたかが重要な当大会において、小学校に入る前の子供の絵として十二分に表されるべき作品となっております。

今後の成長が楽しみでなりません。

中村町校下町会連合会会長賞

第36回 中村町校下町会連合会会長賞
第36回 中村町校下町会連合会会長賞

選考委員・禰宜寸評

大人の皆さんが、この鳥居をこの感覚で目にしたことはきっと無いでしょう。

しめ縄が、こんなにも下に垂れ下がっているところも、現実にはあり得ません。

その中で、この作品を描いた作者さんは、石鳥居の大きさを実感し、しめ縄の存在感を大きく感じられたのではないでしょうか。

それとも、石鳥居を上から見た構図なのかな。

そして、この雲と空。

雲をクレヨンで描き、空の青には絵の具を使っています。

とても楽しげな作品に仕上がっているのがわかります。

今大会の幸せのハートマークが隠された一作でもありますね。

中村町小学校校長賞

第36回 中村町小学校校長賞
第36回 中村町小学校校長賞

選考委員・禰宜寸評

こうして作品になると、手水舎の歴史もかなり深いものになったなぁと実感します。

当神社の手水の水は、地下150メートルから汲み上げておりますが、鉄分の多いと言われる水ですのでどうしてもこけが赤くなってゆきます。

これを綺麗に表してくれています。

また、改修工事が難しかった龍の鱗や基礎の岩も、丁寧に描いてくれています。

作品全体的にうっすらとした色合いになっているのは、夏の日差しの中で絵を描いたことから、明るい光に照らされた結果なのかもしれません。

野町公民館館長賞

第36回 野町公民館館長賞
第36回 野町公民館館長賞

選考委員・禰宜寸評

この作品は完成までにかかった時間が全体から見て短いのです。

ですが、レジャーシートに座って見える実際の景色から少し外れ、「傘の形」にある程度大人の感覚が考慮されている様子がしっかりと描かれています。

絵を描く技術の成長の過程で見受けられるごくごく当然の通過点が、この作品で感じられることが出来るのです。

皆さんは、傘を描く時に横から見たものを描きますか?下から見たものを描きますか?それとも斜めから?

もう少し時間をかけて、腰を据えて描くことが出来れば、感性と描写力を合わせた作品が出来ると想像させてくれる、未来ある作品です。

野町町会連合会会長賞

第36回 野町町会連合会会長賞
第36回 野町町会連合会会長賞

選考委員・禰宜寸評

この写生大会は、作品制作期間が2日間ととても短い中で行われている為、細かく細かく描くには向いていないのかもしれません。

その中ではあっても、自ら細かな描写をしているこの作品には、類い希なる集中力が感じられます。

石垣の色味も大きく変え、現実に目に見えた通りの立体感を表現してくれています。

実に楽しげな、来年どんな作品を描いてくれるのか楽しみな作品です。

泉小学校校長賞

第36回 泉小学校校長賞
第36回 泉小学校校長賞

選考委員・禰宜寸評

綺麗な描画力も大切ではありますが、個人の感性で風景を絵にするところも大切なのかもしれません。

左手赤鳥居の奥に、うっすらとしめ縄が描かれているのが見て取れます。

奥にある出世稲荷神社拝殿を描いているに違いなく、なんとかして目に映る風景を画用紙に落とし込もうとしたところが見受けられます。

絵を描く中できっと困ったことでしょう。

悩みながらも、完成へとなんとか進んでいるところが見受けられます。

もしかしたらちょっと辛かったかもしれませんが、それでも全面に彩色し作品として完成させているところに感服です。

審査委員 田井 淳 さんは実はこんな方

春日神社の氏子総代さんも担っていただいております、田井さん。

禰宜が子供の頃には親父に連れられて、ご自宅前まで足を運んだこともありました。

小学生の遊び場圏内でしたので、身近な絵描きさんという認識が頭から離れません。

毎回の写生大会選考をしていただいている氏子さんですが、実はとてもすごい方であったりします。

出生からの経歴を纏めたホームページがあったり、紺綬褒章を受賞されてらっしゃったり、石川県しいのき迎賓館で個展を開催されてらっしゃったりと、その活動は芸術の世界に広く轟いております。

神社の世界にすら疎い禰宜ですから、畑違いの芸術の世界なんてどれほど手の届かない雲の上の出来事であるか。

それでも、田井さんご自身とお話ししていて実感するのは、子供達が絵の世界に向けて歩き出すきっかけを作ることに熱心である方だと感じます。

雲の上の世界に向けて歩き出すには、オジサンでは出来ない無限の力と希望の光が必要ですから、少しでも絵の楽しさを射し示すこの写生大会を大切に思って下さっております。

美術や文化の継承は誰かが意図して行うだけでは難しく、地域社会や各家族の助力を経てようやく紡がれるものですから、このような写生大会を是非子供達の成長に結びつけてご活用下さい。

ちなみに、田井さんは独立美術協会の会員さんでもあります。

機会がありましたら、独立展に是非一度足を運んでみて下さい。

第36回 春日神社境内写生大会禰宜総評

北九州の豪雨など、局地的集中豪雨が暴れている平成29年でしたが、この写生大会には無事に晴れ、2日間ともムシムシと暑くはありましたが雨に降られる事無く終われました。

保護者様のお力添え無くしては開催できないこの写生大会ですので、関係諸氏には頭の下がる想いです。

本年は出世稲荷神社基礎改修事業も発足しており、広くこの商売繁盛の神様の御威徳が伝わっていることと存じます。

36回を数える春日神社境内写生大会でも親しみの深いこのお社ですが、どうしても年々ご参拝いただく方が少なくなっている現実は否めません。

しかし、子供達は大体毎年同じ程度の参加者を迎えていることから、そこまで辛気くさく考える必要もないのでは無いかな、と感じたりもしております。

 

さて、今回の写生大会ですが、デジカメなどを用いて境内の写真を撮り、ご自宅に帰って絵を完成させる方がちらほらと見えております。

これを、当神社としては禁止しておりません。

そして、現地で描いた絵と、ディスプレイの中の画像を描いた場合との違いは、審査段階でも大体わかっております。

その上で、どれだけ子供達の感性を大切にされているかを審査対象の柱としているところがありまして、参加者は小学生までに限っているのもこのことからで、楽しく神社の絵を描いて欲しいとの思いからです。

今年は熱中症対策にお茶の配布もしましたが、体調管理はたとえ保護者さんがそばに居たとしても難しいもので、絵を描くことに熱中している子供達は自分の体調変化にも気づきにくく、37℃などになるととてもとても境内で涼しく絵を描く状況ではなくなります。

そういったこともあり、自宅での作画は特段禁止しておりませんので、体調管理の面からお考えいただいて結構です。

それでも、実際に境内で描かれた絵の壮大な感覚は、子供達にとってかけがえのない体験であることは間違いありません。

 

 

ご参加頂いた皆様には、心より感謝を申し上げると共に、この夏の思い出が大人になって楽しい思い出になるよう願っております。

第36回 写生大会 楽しげなご家族皆様
第36回 写生大会 楽しげなご家族皆様