子供と過ごす毎日は違う事件がひっきりなしに起きて喜怒哀楽がより一層実感できます。
こんばんは。禰宜(宮司)です。
外出できない身には特に喜楽が圧倒的に多くなるので癒やしとなってくれます。
流行病を自宅待機で避けていても出来ること
自宅や職場に閉じこもる時間が多くなっている昨今、日々の流れ作業に辟易としていらっしゃる方も少なくはないのでは。
今、生きて家族とともに生活している事への感謝の心を表す社寺へのご参拝もままならなかった頃があったのでは無いでしょうか。
当神社のように氏神神社としての崇敬が厚いお社は参拝者数が7割8割9割減るといったことは無く(大きな神社さんから見るとそもそものお参り頂く人数が3桁は違います)、有り難いことに最大でもひと月5割減程度でした。
ただ、令和4年2月現時点で、3月の外祭の予定は一件も入っておりません。
神社の神職として、こういったタイミングで皆様が出来るであろう神社のお祭り事をいくつかご提案してみます。
神棚の清掃と神符のお祀りの仕方
多くのご家庭の神棚は、木製でしょう。
まず始めに。
神棚の御扉を閉じてください。お水をお供えする陶器などは神棚から下ろしましょう。
その後、これらの神棚はよっぽどの高級なもので無い限り、気軽に水拭きはしてはなりません。
日々きれいに磨いているというお宅でもない限り、きつめに絞ったぞうきんでそっとほこりを拭き取る程度にしましょう。若しくは、フワフワのハタキでそっとさすってあげる程度でも宜しいぐらいです。
鰹木にほこりが溜っていることがままありますので、きにかけてあげてください。
落ち着いた頃に、神棚の御扉を開け、中の神符が曲がっていないか、扉の中央からずれていないかなどを確認します。
この際、お子様がいらっしゃるご家庭などでは、神棚の中に思いがけないおもちゃが侵入していることもあります。
さてここで、神職からお伝えしたいことがあります。
皆様、神符の薄紙はどうしていらっしゃるでしょうか。
本義であれば、神符に巻いてある薄紙は神符自体を汚れから守るものであるため、外してお祀りすることが推奨されております。
しかし、この薄紙、特に神宮大麻のものは模様が入っているのです。
おいそれと捨てることが出来ませんし、破ることすら憚られます。
この薄紙、現代においては『そのままでも外してもどちらでもいいでしょう』となっております。
もちろん、先の通り外すことを推奨としているようですが、神職の私ですら外すのもったいないなぁと思ってしまいます。
さらにもう一つ。
神棚の扉って、開放つことが正解?閉めておくことが良い?
これもまた地域差、神社差、神職差、ご家庭差、個人差、等などがある問題ですね。
神社神道では御霊代は直接見ずとも其処に在り坐しし事で敬い奉る事を尊しとしております。
だから、神棚の扉は閉めておくものだ、と。
しかし、今の世の中、神棚も進化しております。
所謂神社のような、御扉の中に御簾などをかけ直接神符を見なくても良い造りをした神棚が広く出回ってきております。
私は、こういった神棚であれば、御扉は開け放したままでも良いと考えております。
そもそも神棚は、自宅の中で家族が奉る最も人々に密着した神様です。
この神様に、家庭の様を見て頂きたい。また、神様が坐し在しし事を家庭の誰でも身近に感じていてほしい。
そして、あまりない事なのですが、「年末に神符を神棚から取り出して、新しいのを神社で受けてくるのを忘れていた!」という失敗を避けるために、誰しもが見えるようにして頂いても宜しいのでは無いのかな、と。
私の自宅では、神棚の神符は薄紙を外し、神棚自体には御扉の中に神符を直接見ないようにするものがないのですが御扉は開けっぱなしにしております。
そして、子供たちが時折話しかけてきます。
「この神様って何?何で3枚あるの?」と。
このときに、神様の説明をします。神符の説明もしたりします。何をしてくれているのかも話したりします。
これが、「家庭のまつり」なんだと、考えております。
身内の常識は身内だけの常識だけど大切な家庭の法
余所様のご家庭をとやかく言う必要はありませんが、自分の家の神棚のお祀りはある程度作法を正しておく事が良いでしょう。
家庭のまつりは、今まで面倒見てくれていた人から代替わりするにもこの機会はうってつけですし、お話が出来る内に神棚や仏壇のお祀りの作法を聞くのも良い事だと考えております。
氏神神社の春秋のお祭りはいつだったのかを聞いてみたりする事も良いでしょう。
神符は年末年始に神社へ受けに行っているのか?それとも各氏子総代が注文を取りに来ているのか?
家庭の作法で知らない事は、とてもたくさんあるものです。
今この時期に、せっかく家族が否応なしに自宅に籠もらざるを得ないのですから、これまで見る事の出来なかった作法を知ってみる事も、とても良い掃除の一つです。
上手では無くても、これまで知らなかった自宅の作法を、本来会社に居るはずの作法を、家族それぞれがお互いを見つめ合い見直してみるように。そういう時間を作ってくださっているのかもしれません。
小さく簡素な神棚もまたよろしいものですよ。