新幹線の及ぼす効果足るや
北陸新幹線開業以降、金沢市内の中心部は大きく様変わりしてきました。
年代物のビル群があれよあれよと消えて行き、その後にまたにょきにょきと新しいビルが建ち並ぶ様にはワクワクさせてもらいました。
親を乗せた車を運転しているときにも、ここはどうだああだと話題に尽きることがありません。
新幹線という鉄の道が一本通るだけで、ここまで大きく替わり、またその変化がこれほど続く物とは。驚くばかりです。
この北陸新幹線開業の5年前、平成23年の3月12日に、九州新幹線が全線開業したのです。
この開業を、当時の日本は祝うことが出来ませんでした。
地元の喜びを心躍る様を撮したCMも、たった3日間しか放送されませんでした。
日本という国の一部が大きく欠けた翌日だったからですが、振り返れば、大災害から奇跡的に助かったたくさんの命があった翌日でもありました。
日本の国民の多くが膝を折り再び起つ気力すら無くなる中、弱った人々を助け支えるべく新幹線開業に胸を張り国内全てが落ち込んではいけないと喜びを示すことが出来るようになった同年4月22日、件のCMがテレビ番組の特集として放送される事となります。
このCMはyoutubeで人気を博していたこともあり、全国放送の番組特集企画はとても温かい気持ちで見ることが出来ました。
そして、東日本大震災で不通となっていた東北新幹線が、同年4月29日(昭和の日)に復興開業を果たします。
3月11日から数えてたった49日という驚異的な早さに多くの人々が驚いたのでした。
熊本地震に繋がる経験
東日本大震災以降に制定された建築基準法により、九州新幹線の橋脚などは大変厳しい基準を守る必要がありました。
これにより、平成28年に発生した熊本地震では、車両脱線はあったものの致命的な軌道損傷はなかったとされています。
0系新幹線を造った技術者の心意義から繋がる安全性への追求は、今の世にも潰えることなく続いてきているのです。
九州新幹線開業のこの日に、祝!九州縦断ウエーブのCMを見返すのですが、笑顔で手を振ることが嬉しくて今でも涙が出ます。
生きて成果をする幸せは、どんな時代になろうとも全く変わらない。
応援は邪魔にならないように
10年前に他所の県から石川県に戻ってきた禰宜ですが、それ以降まともな旅行は一度もしてきませんでした。
よりたくさんの神社へ参拝がてら遠出せねばならないものですが、氏子さんの土産話でしか他所の神社様を知る機会がありません。
そろそろ真面目に研修旅行に行かねばなりませぬ。
もちろん社務が在りますので期間未定の弾丸旅行になるでしょうが、なんとか被災地応援にかこつけて楽しみに行きたいと思います。
東北に限らず、広島や四国や熊本などにも行ってみたい。
くまモンのカブも欲しい。
そして北海道は本当にでっかいのか実感したい。
荒川牧場にも行ってみたい。
春日神社の兼務神社では、毎月必ず何かしらのお祭りを行っております。
そして、私が宮司になって以降は、著しい災害が起きた後に必ず祝詞の中に状況を読み上げ、各神社の大神様にご報告申し上げております。
お金の応援も人力の応援も微力すぎますので、祝詞の内容からくみ取っていただいた方々に願いを委ねております。
兼務社氏子さんの中には、災害が起きたら必ず現地へ向かい泥を掻き出し汗水流す方がいらっしゃいます。
とんでもない金額の寄付をしている方も居るようです。
津波の怖さを語ってくれる人も居ます。
善悪の関係ない、命の尊さを教えてくれる方も居ます。
応援は、邪魔にならないように。
無くなった命は、正直わかりません。わかろうとする事すらおこがましいのかとも考えてしまいます。
でも、助かった命は、今現地へ行けば出会えます。
美味しいもの食べて、お土産を買うだけで、きっと復興に繋がるでしょう。
出来ることを、邪魔にならないように、そして楽しく未来に向かってゆきたいものです。
そして出来ることなら。
北陸新幹線に一度でいいから乗ってみたい。